本日はHashiCorp Japanにおける最終勤務日。ということで今回はいわゆる退職エントリーというやつ。
HashiCorpでは何をやっていたのか
HashiCorp Japanに入社したのは2021年9月。なので、おおよそ2年と1ヶ月勤務したことになる。
HashiCorpではSenior Solutions Engineerという、いわゆるプリセールスエンジニアというロールで、TerraformやVaultといったHashiCorpプロダクトの商用版を技術的な観点でお客さんに提案するというポジションだった。
担当インダストリーが特に決まっていたわけではないが、ゲーム系やWeb系のお客さんを多く担当した。あと、個人的な興味から「カメラに関するお客さんは自分担当にして欲しい」とお願いして担当していたりもした。やっぱり興味のあるインダストリーだと身が入りやすかったりもするので。
プリセールスエンジニアというロール自体、実質初経験だったというものあって、なかなか大変なこともありつつも楽しく仕事できていたと思う。
前職のVMwareではプロフェッショナルサービスを担当していたため、少数のお客さんに対してガッツリ入り込むという仕事が多かったがプリセールスエンジニアはその逆。たくさんのお客さんに対して広く接するという形になるので、仕事のスタイルは大きく変わることになった。深い技術をしっかりと伝えると言うよりは、お客さんが必要としている技術や情報をテンポ良く提供していくことが求められるため、周囲の助けをうまく求めながらスピード感重視で仕事を回すのが重要だった。これはなかなか良い経験だったように思う。
また、コロナ禍でミーティングの殆どはオンラインであったため、それまで趣味半分で磨いてきたオンラインホワイトボーディングの技術やプレゼンの技術などは大いに役立った。
人前でプレゼンすることに抵抗がないため、パブリックでの登壇系も多く引き受けていた。HashiCorpの思想やプロダクトは非常に尖っており、情報発信していくのはとても楽しかったし、ここに関しては会社から求められるものと自分のスキルセットがうまくかみ合っていたように思う。
なぜ退職するのか
仕事内容や自身のスキルと仕事のマッチングには特に大きな不満はなかったのだが、なぜ退職するのか。
一番大きな理由は、HashiCorpの方向性が変わってきたというところ。
ご存じの方も多いと思うが、先日プロダクトライセンスが変更になり、それに対してさまざまな議論が巻き起こっていた。表に見えるのはそのライセンスの話が中心だろうが、会社としての目指す先も変わってきたように感じている。
ソフトウェア、特にオープンソースをビジネスにしていくのは非常にチャレンジングだ。
自分の入社後、2021年の12月にHashiCorpはNASDAQに上場を果たした。ビジネスを大きくしていく上で上場というのは非常に重要である一方、世の中に対して大きな責任を負っていくということも意味する。市場が求める形に会社を変えていかなければいけないし、時にはそれが大きな議論を引き起こすこともあるだろう。
個人的にはビジネスを大きくしていく観点において、HashiCorpが行ったこの方針転換を支持している。簡単な決断ではなかっただろうし、世の中からの反応も予測できていたと思う。それを分かった上で行った決断は尊重したい。
一方で、そういった方針転換後の組織で自分がどういう点に貢献していけるか。自分が尊敬し憧れていたHashiCorpのフィロソフィーみたいなものが変化してきた中で、身を入れて貢献していけるかという点について考える必要性がでてきた。そして色々考えた結果出した結論が、今回の退職という選択肢だった。
このあたりについてはどういう書き方をしてもネガティブな感じに見えてしまうだろうけど、繰り返し強調したいのは会社の方向性に反対するから辞めるわけではないことだ。ライセンスが変わろうともHashiCorpプロダクトが最高なのは変わりないし、導入することによって得られるメリットも変わらない。辞めた後も1ユーザーとしてプロダクトを使い続けるだろうし、積極的に情報発信もしていきたいと思っている。
HashiCorpにはHashiCorp Ambassadorsというアンバサダー制度がある。年末には来年のアンバサダーの立候補ができるはずなので、興味のある人は応募してみて欲しい。
ちなみにHashiCorpプロダクトでいうとみんなTerraformばっかり取り上げるのだが、個人的に一番良いプロダクトはVaultだと思っている。みんなVault使おう。
次はなにをやるのか
次の所属先での勤務は明日から。次も、自分としては初めての挑戦となるロールであり世の中との接し方もこれまでとは違ったやり方が求められるようになる。
ここについては改めて別エントリーで書いていきたいと思う。
個人活動の一環として関与していたCloudNative DaysやPlatform Engineering Meetup、一般社団法人クラウドネイティブイノベーターズ協会との関わり方はこれまでと変わらないので、そちらのほうで絡んでいる方は今後ともよろしくお願いします。