このたびVMwareを退職することになりました。数週間前から有休消化期間に入っており、今週末をもって退職となります
有休消化期間は、Cloud Operator Days Tokyo 2021のシステム周りをお手伝いしていたり、CI/CD Conference 2021を開催したりしてました。
VMwareに入社したのは2020年の春。それから考えると僅か1年半なのですが、元々はPivotalという会社に所属しており、買収を経てVMwareとなったので、Pivotal時代から通算するとおおよそ4年半在籍していたことになります。
そもそも何をしてたんだっけ
PivotalおよびVMwareでは、Senior Solutions Architectというポジションに居ました。一般的にSolutions Architectというとプリセールスエンジニアを指すことが多いのですが、Pivotalの場合は製品を購入していただいたお客様に対して導入の支援やコンサルティングを行う、いわゆるプロフェッショナルサービスと呼ばれる類いの仕事をしていました。
元々NTT CommunicationsでCloud FoundryをベースとしたPaaSを開発していたこともあり、Cloud Foundryの本家本元であるPivotalに転職したという経緯があります。Pivotalでは商用版であるPivotal Cloud Foundryや、KubernetesディストリビューションのPivotal Container Service、VMwareになってからはVMware Tanzu(Pivotalから継承した製品含む) 周りのプロダクトの導入支援に携わっていました。
自分がCloud Foundryに触れたのは2011年のことだったので、NTT Com->Pivotal->VMwareと延べ10年に渡り、このPaaSに関わってきたことになりますね。時が経つのは早いなぁ。
Pivotalってすごかったんだよ
Pivotalは2013年に設立された非常に若い会社でしたが、 Transform How The World Builds Software - 世界のソフトウェアの作り方を変える- のミッションのもと、主に大企業に向けたプロダクトとサービスの提供を行っていました。単にプロダクトを提供するのではなく、ソフトウェアの変革に必要なのはチームとその文化であるという強い信念を全社員が持って取り組んでおり、その信念に反する(Pivotalっぽくない) ことはやらないという、言うなれば我の強い会社だったなあと思います。
▲ Pivotalのコアバリュー。今見ても良いなって思う
ビジネスの対象としては、いわゆるエンタープライズと呼ばれる超大企業がメインでしたが、そういったビジネスの会社にありがちな堅さは全くなく、めちゃくやオープンでフレンドリーなカルチャーでした。春になるとオフィスに桜が咲き、秋にはカボチャが生え、それが終わるとクリスマスツリーが生える。いつも卓球台からは楽しそうな声が聞こえる。そんな環境でした。
こういうのをみると、「あ、シリコンバレーの会社っぽいな」って思うかもしれませんが、まさにそれ。Pivotalの場合は、Pivotalという存在自体がある意味商材そのもので、自らが持つソフトウェア開発に向いたシリコンバレーの文化を、エンタープライズにも広げていくという考えでやっていました。 "Silicon valley is not just a place, it's a state of mind" (シリコンバレーとは地名ではなく、マインドセットである) ともよく言っていましたね。
Platform as a Product
前述したように、自分はソフトウェア開発ではなく、Pivotal Cloud Foundryを中心としたクラウドのプロダクトを中心に担当していましたが、それでもこのPivotal文化による影響はバンバン受けていました。
その中でも、Platform as a Product(プロダクトとしてのプラットフォーム) という考え方に触れられたことは、自分が十数年この業界で生きてきた中でも最も衝撃的でした。一言でいうと、「役に立つプラットフォームを作るのであれば、それをプロダクトとして育てよう」という考え方なのですが、この一文で衝撃度合いを伝えるのが難しいので、CloudNative Days Tokyo 2020で発表した以下のセッションを見て欲しい。
スライド speakerdeck.com
また改めて整理してブログに書いてもいいなと考えてたりします。
じゃあなんで辞めるの
Pivotalのすごさを語るといくらでも書けてしまうので一旦この辺にしておきますが、じゃあ何故今回退職することになったか。
まあ、VMwareはPivotalじゃなかったから という点は間違いなく理由としてあるのですが、これだけだとネガティブに伝わってしまうのでもう少し補足。
VMwareになってからは1年半経つのですが、実は大きな不満というものはないんですよね。良くも悪くも小さい会社(といっても数千人いたけど)だったPivotalに比べると、こちらは数万人規模の巨大なソフトウェアベンダー。体制の充実度は圧倒的に高く、待遇としてもPivotal時代よりも圧倒的に良くなりました。仕事の内容も同僚もポジションも変わらないのに待遇がめっちゃ良くなるの、不思議な体験でした。
また、PaaSやCaaSといったチャレンジングなプロダクトを中心としたPivotal時代と比べれば、VMwareには圧倒的なパワーを誇るプロダクトがずらっと並んでいる。こういった足腰のしっかりしたプロダクトの上に、VMware Tanzuという新しいプロダクトを載せるという形になったので、安定度(プロダクト、マーケティング双方)を増しつつも新しいことをやれるといういいとこ取りな状況になったのです。強い。
ただ、プロダクト力で推していくビジネスは強力な一方、社員に求められるものも必然と変わってくることになりました。買収と会社の成長を通じて、良い意味で フェーズが変わった んだなと個人的には考えていて、じゃあどうするかと考えた末、自分としても新しいことやろうと思い、今回の決断に至った次第です。
次は何するの
来週から新しい職場になるので、それは改めて書こうかなと思っています。 が、業界としてはほぼ同一(直接のコンペではない) なところに居るので、今居るコミュニティには引き続き参加していくつもりですし、VMwareプロダクトにも継続して触れていきたいなと思っています。
あ、VMwareの社員向けのライセンス使えなくなるから、VMUG Advantage入らないとな。
あと、11月4-5に開催するCloudNative Days Tokyo 2021、現在CFPオープンしていて締め切りは明日 9/8です!クラウドネイティブ技術に関するものであれば何でも審査の対象となりますので、ネタのある方は急いでご応募ください!
あと定番のほしいものリスト