背景
一部の界隈をざわつかせたこちらの件。
IBM Cloud (旧Bluemix) のアカウントを持っている人は今すぐクレジットカードの請求を確認すべき ※追記の追記あり - Cloud Penguins
IBM Cloudからの不意打ち請求はあろうことか2重請求だった ※追記あり - Cloud Penguins
解決
IBM Cloudの利用者にはメールでも通知されていると思うが、3月4月分の返金を行うということで方針がきまったそう。一番の問題点であった、一部ユーザーにプラン変更の通知メールが飛ばなかった原因については現在も調査中とのことだが、結果がわかり次第公開してもらえるとのこと。
調査結果も纏められているので、今回の問題に当たってしまった方は読んでおくと良いかも。
ひとまず利用者にとってはベストな形の対応方法をとってもらえることになったので、個人的にはこれで解決かなと思う。
しかし上記報告の中にある
その後の調査によって、44件のクレジットカードへの二重請求があったことが分かり、うち43件は2度の決済処理が原因でした。1件は2度の決済処理のうち1回がエラーで決済できなかったため、書面での振込依頼を行ってしまいました。
よりによってその1件の特殊ケースがウチだったんだなぁ。振込依頼のメールがなければ今回の問題に気づくのは大分後になったと思うので、また違った展開になったかもしれないね。あと、二重決済をきちんとブロックした楽天カードGJ。
解決に至るまでの経緯
5/15(金)
- 昼 カード決済が出来なかったから振り込みをしろというメールが来る
- 14時頃 メールに気づく。最初は自分のミスかと思いアチャーとなるが、調べてみると事前通知がない。そりゃー無いでしょとPaaS勉強会のSlackにボヤく。
- 15時頃 サポートに課金が不当である旨のチケットを上げて、仕事に戻る
- 夜 FacebookのBluemix User Groupに、『そういや3/1に有料化したからチェックしといてね~』的な投稿が行われているのに気づく。いやいやそれ有料化前に告知すべき内容でしょとイラッとする。IBMのデベロッパーアドボケイトに文句を言うがガン無視される。
5/16(土)
- 朝 カードに課金が行われていることに気づく。このときは二重課金かどうか確証がなかった。
- 夕方 FBやTwitterで同様の課金を食らっている人が居ることに気づく。
IBM Cloudの騙し討ちのような料金体系変更でいきなり課金されてる人結構いるな
— Kazuto Kusama(jacopen) (@jacopen) 2020年5月16日 - 夕方 再度デベロッパーアドボケイトに文句を言うもガン無視される。埒があかないので問題をまとめて公開することを決める。
- 一つ目の記事公開
5/17(日)
- 朝 利用額等をチェックして二重課金であることを確信する。
- 夕方 サポートチケットに二重課金の問題も追記する。まだ返信は無し。
- 夕方 周囲のIBM関係者からも一切反応がない。これでは埒があかない(2度目) と感じ2つめの記事も公開。
5/18(月)
- 朝 Bluemix User Groupの投稿で、サポートチケットに日本語で送っても対応してもらえないことを知る。Blogじゃなくてもっと分かる場所に書いて欲しいな。
- 昼 上記ブログに、電話とチャットなら日本語で受け付けしていると書いてあるのを見て、電話をする。 しかしバリバリ英語での対応であった。(こうなることは予感していたので、心の準備はしていた)。 内容が内容なので、日本人に代われない?と聞いたところ、電話では日本語対応していないがチャットならOKだよと言われる。
- チャットを開始する。しかし英語で返ってくる。まぁそうじゃないかと思ってたよ。 billingについて聞きたいことがあるから日本人に代わっておくれと言ったところ、日本人の営業が出てくる。
- なんで営業?と思いつつ、今回の問題と返金要求をぶちまける。返答がしばらく無く、ここで昼休憩が終わってしまう。
- 14時ごろ 上記チャットにサポート担当から返事があることに気づく。『プラン変更についてはメールで通知したはず』『3月分の請求に関しては返金対応を行う』『4月分に関してはまだ請求を行っていないので、請求されたら返金するから再度チケットを上げて欲しい』との返信でチャットがクローズされていた。
- 返金対応が行われる点については良かったが、メール通知を行ったという主張には不満を抱いた。
今回のIBM Cloudの件、3月4月分は返金するという方向性になった様子。サポートに問い合わせがあった人のみと逃げそうなので、もっと問い詰める。
— Kazuto Kusama(jacopen) (@jacopen) 2020年5月18日
かつ、彼らは『事前通知を行った』と言い分で通すつもりのようだ。少なくとも自分は受け取っていないが、もし受け取った人がいたら教えて欲しい - 夜 クラウド&コグニティブ・ソフトウェア事業本部の方から直接コンタクトがあり、対話を開始。『あるべき通知が送られていないケースを確認できており、急ぎ対応方法を検討している、ユーザーにはWebおよびメールで経過報告を行う』という旨を連絡いただく。 非常に真摯な対応でだいぶ溜飲が下がる
5/19(火)
- 朝 第一報が出る。 思ったよりもだいぶ対応が早くて驚く
- 夜 アカウント確認方法の記事が出る
5/22(金)
まとめ
月曜にコンタクト頂いて以降の対応はとても真摯で好感の持てるものだった。自分も外資にいる身として、本国と話し合いながら対応策を決めていく大変さは理解しているので、あの規模でこの対応速度というのは、恐らく相当な危機感をもって対応して頂けたんじゃないかなと思う。
他の利用者についても一律返金ということで、ひとまず良い形に落ちたと思う。声を上げた人しか対応してもらえないというケースもあり得たので、この点でも評価出来るのではないか。
自分としてはこの件はこれにて終了と思っている。
おまけ
それにしても、改めて感じるのが、 DevRelって何なんだろうねと。
経緯を読んでいただければ分かると思うが、初期対応が非常に悪かった。お金に関する問題というサービスとして最もクリティカルな問題に対して、完全にダンマリを決め込まれてしまった。
本来、ユーザーに近い立ち位置で信頼関係を築き上げていくのがエバンジェリストやアドボケイトという仕事なんじゃなかろうか。しかし、今回は信頼関係を築くどころか全力でぶち壊すような動きをされたため、こちらとして出来る対応が事実関係をまとめて書くくらいしか無くなってしまった。
ただ、今回の件に限らず世の中のDevRelに関する人たちの動きはこれまでもずっとモニョモニョしたものを抱えていた。もちろん全員が問題という気は全くなく、本当に技術を愛してユーザーのことを考えている、尊敬できる人たちも沢山居る。
でも、この人は本当に技術のことが好きなのか? 単にミートアップやってキャッキャウフフして、気持ちよく喋りたいだけなんでは? という人も本当に多い。本当の本当に多い。
そろそろ、DevRelのあり方について見直す時期に来てるんじゃなかろうか。そう強く感じる一件だった。自分の関わるサービスの問題に当事者意識を持てないなら、DevRelなんてやめちまえよ。
追記
(感情逆撫でしてくるようなツイートがあったので記載していたがここに書くのはアンフェアすぎる感があったので削除)
追記の追記
デベロッパーアドボケイトのようなDevRelの人にサポートを求めるのは違うんじゃない? という意見があったので補足。確かにこの部分は自分がアドボケイトに何を求めているか不明瞭だったと思う。
職掌の違いについては自分も理解していて、経緯にも書いたように問題が発覚した後は即座にサポートにチケットを上げている。ここはどのベンダーにおいても共通だと思う。
DevRelをタップしたのは、User Groupに5/15になってから『3/1にプラン変えたから改めてチェックしておいてね』という投稿があったのがきっかけ。改めてとか言いながら過去には一切の通知はなかった。1ヶ月半も経ってから言うのが遅すぎるでしょうと。 まずこの点に関して意識が希薄すぎない?というのが1点。
実際アドボケイト主催のIBM Developer Dojoが契機となって今回のトラブルに当たっている人もいるので、アドボケイトは無関係どころか当事者ど真ん中なのだ。
いろいろスッキリした。自分の課金もIBM Dojoだったのだが、当初はライトアカウントで作成したので無料だった。それは今も変わらないのだが、削除手順がなかった。別の会で同じアカウントでKubernetesクラスタを利用できるようにするにはPAYGにアップグレードする必要があり。結果、見事にヒット。 https://t.co/1WrhRtfCjI
— SAKON (@sakon310) 2020年5月22日
どういう対応を期待していたかというと、ほんの一言でいいから何らしかの反応があればそれだけで大きく違ったように思う。
なーんの返事もないしSNSは雲隠れするしで不満しかなかったですね。『ちょっと確認しておきますね』 の一言の返信するだけで受ける印象は全く違うと思うんですけどね~。
— Kazuto Kusama(jacopen) (@jacopen) 2020年5月22日
アカウント整理については同意です。自分もいろんなものに飛びつく系なので、ちゃんと整理しなきゃなぁと感じました。
また、User Groupの方が、チケットだと日本語対応していないこと、電話したほうが早く対応してくれることなどを、この記事とともに教えてくれた。
こういう適切なディレクションをすること自体も、DevRelな人に求められていることじゃなかろうか。
大きな組織になってくると、何でもかんでも一人で対応するのは難しい。一方で、組織内の壁によりユーザーへの対応が二の次になってしまうのも、また問題だ。だからこそ、ユーザーに近い立ち位置で、組織の壁をうまくカバーするようユルユルっと動く。それがDevRelなんじゃないかと思っているし、自分がすごいと思っているDevRelの方々もそう動いているように見える。
別にDevRelにサポートをしてほしいって話ではないのでした。